脳脊髄腫瘍センター

脳腫瘍概論

脳腫瘍は、癌の脳転移を除くと年間に人口1万人あたり1人発生する珍しい病気です。脳の中にできる腫瘍を脳腫瘍というわけではなく、頭蓋骨の中にできる腫瘍はすべて脳腫瘍と呼ばれます。脳腫瘍には良性と悪性があり、頭蓋骨の中であっても脳の外側にできる腫瘍はほとんどが良性腫瘍で、脳の中にできる腫瘍は悪性腫瘍が大部分です。脳腫瘍と言われると、すぐに生命を脅かす病気と考えてしまいますが、実際は過半数をしめる良性の脳腫瘍で生命を失われる方は、現在ではほとんどおられないといっても過言ではありません。

良性の脳腫瘍には、髄膜腫・下垂体腺腫・聴神経腫瘍などがありますが、よほど脳の深部にできたものや巨大なものを除いて、脳神経外科手術の進歩により現在ではほとんど安全に摘出ができ、術後に放射線や抗がん剤などの治療を行う必要もなく、短期間で社会復帰が可能となっています。また、深部のものに対してはガンマ・ナイフなどの特殊な放射線により治療ができるようになりました。癌の転移に関してもガンマ・ナイフなどが有効であり、ある程度以上の大きさのものは手術で完全にとることにより、よりよい状態での生活が可能になることが期待できます。

一方、悪性の脳腫瘍はやはりとても難しい病気です。悪性脳腫瘍の代表とされる「神経膠腫(しんけいこうしゅ、グリオーマ)」は正常の脳の中に浸み込むように広がっていく腫瘍です。最も悪性の膠芽腫(こうがしゅ、グリオブラストーマ)は、何も治療をしなければ4ヶ月しか生きられないといわれています。神経膠腫は、このように脳の中に広がっていく病気ですので、手術により完全にとってしまうことはできません。手術顕微鏡やニューロナビゲーターという最新の機器や最近承認された蛍光を用いて腫瘍を染色する方法を用いて、MRIで腫瘍と思われる部分を手術で完全にとっても、術後に放射線や化学療法(抗がん剤による治療)を適切に行わなければ、数ヶ月のうちに必ず再発してしまいます。

私は、約30年前よりこの神経膠腫に対する薬による治療(化学療法やインターフェロン)を最大の専門領域としてきました。私の書いた論文の約8割は、この悪性脳腫瘍の薬物治療に関するものです。私の化学療法については、後に述べています。

東京西徳洲会病院には脳腫瘍の診断・治療に必要な最新の医療機器(3テスラMRI、64列CT、PET-CT、手術用ナビゲーター、術中専用16チャンネルモニタリング装置、エレクタ社製リニアック放射線治療装置など)がほとんど揃っています。